英会話の教材の購入を勧められて不快な体験をしました。
何分古い記憶を手繰ってのことですので正確性を欠く部分もあるでしょうが私の体験談を書かせていただきます。
事の起こりは何の前触れもありませんでした。

 

そう、あれは二十歳になる少し前の頃でしたね。私の家に一本の電話が入り、見知らぬその相手は私の知人の名前を口にし、その消息を訊ねてきました。親しい間柄では特にはなかったのですが、その時は正直にこう答えましたよ。名簿があるから住所と電話番号ならわかりますけれど、と。

 

すると相手は彼と連絡を取りたいので御足労だろうけれども駅前の喫茶店まで来てくれないかと懇願しました。たまたま私の仕事の休日(平日でした)であり駅まで行く用事もあったので親切心も手伝って行くことにしました。もちろん名簿もカバンに入れて。

でもそれが間違いであったということはすぐに気づきましたよ。相手は席に着くやいなやいきなり英会話教材のセールスを始めましたから。しまったなと思いました。でももう遅かった。当時の私は現在とは違ってとても弱気な青二才に過ぎなかったからです。
一方的なセールスは立て板に水の様に流れ、私に考えさせる十分な時間を与えませんでした。

 

相手の会話は実に巧みでしたね。おそらく徹底的に練習を重ねてきたのでしょう。その言葉の端々に魅力的な単語がチラチラと顔をのぞかせていたいたことが今考え直すとよくわかるのです。微に入り細に入りよく消費者の心理を調査していました。これもプロの手腕なのでしょう。世間知らずの青二才ではとても太刀打ちできそうもないくらいに手段が講じられていました。でも、私にも生活がある。仕事で得られる収入の相当な部分を回せば不可能な話でもありませんでしたが、慎ましい生活を常にしていた者の本能が甘い考えを棄てさせてくれたのです。でもストレートに断ったとしても相手は食い下がってくるに違いありません。

 

そこで私は仮契約という口実を思いつきました。契約が成立する要件はいくつか条件があり、不備ならば成立しないのです。そこで仮契約だからと相手に断っておいて、いくつかの事項については空欄ではなく「仮契約につき」と明記しておくことで後のトラブル回避のための手段としました。

 

相手も一応の成果と考えたのか拒否はしませんでしたね。
ああ、たった一杯のアイスティのためにこれほどの苦労をさせられるとは。もっと腹立たしかったのは相手が最後に名簿のことを持ち出したことでした。そうか、こういう手法だったのだな。でも私も負けていませんでした。探したけれど約束の時間に間に合いそうもなかったのでそれはまた今度と、やり返したのです。相手は特に不審がらずにその日はこれで別れました。二度と合うもんかと私は心に決めていましたが。

 

それから数回相手からやはり電話がありましたが、のらりくらりとかわし続けることでついに電話は止み、撃退には成功しました。これがもっと悪質な相手だったらなかなかこうはいかなかったかもしれませんが。でも考え方を変えればこれもいい勉強でした。断る方法を必死に考えるということに気付いたのですからね。断る勇気を持つ。これも社会生活を営む上では必要要件なのです。

 

断り方

基本はひたすら無視することです。それでも現場へ足を運ぶような事態となれば、相手の話など一切上の空で聞き流すことです。法事の時の僧侶の読経の様にね。間違っても相手のペースに合わす必要はありません。あなたの親切心を相手は狙っているのですから。契約書を交わすようなことになっても「仮契約」だからと断って、要件が成立しないように全ての欄を埋めるないようしましょう。

 

それでもしつこく食い下がって来た時は契約書をその場で破り捨てるぐらいの覚悟で行動するのです。相手も騒ぎになるということを極力恐れていますので、遠慮は要らないのです。私の場合は英会話の教材でしたが、確かに相手の話は大筋で真実を衝いていたので私も一度は契約書の欄の幾つを記入しましたが、一番大切なことは何をやり遂げるにしても簡単ではないということを肝に銘じておくべきですね。

 

学校で何年も英語の勉強(カリキュラムにも大いに問題がると思ってますが)をしても、実用のレベルに達することはまず無いのですからね。機材に頼る程度ではまず不可能だという現実を認識しなければなりません。それでも解決しないのならまず公的な組織に相談することです。自分の身を守るのは自分自身でうので。それともう一つ。クーリングオフは万能の制度ではないということ知っておいてくださいね。